推薦入試の時期になった。各大学、各高校で推薦入試の面接が始まっているだろう。
私の勤務校でも、先日、推薦入試があった。連続3時間の面接だったので、最後は若干頭が朦朧とした。(それだけ受験生が希望してくれるのは、大変ありがたいことなのだが)
志望動機を聞かれて、非常にしっかりした答えをした生徒もいて、感心した。
一方、志望動機や将来の希望が曖昧な生徒もいた。それはそうだろうと思う。将来何になりたいかなんて、17, 18歳ではまだよく分からないのが普通だろう。志望動機だって、大したものじゃないはずで、具体的に、とか言われても答えられないはず。自分の長所短所を聞かれても、自己分析をするにはあまりにも幼すぎる。
だから、受験生の皆さん、素直に、正直に答えていいのよ。きちんとコミュニケーションが取れるかどうかがポイントなのであって、”立派な”答えをする必要なんて、全くないんだから。
もし、私が高校3年生の時に、なぜスペイン語を学ぼうと思ったんですか、なんて志望動機を聞かれたら何て答えたんだろう?「父親が、スペイン語は多くの国で話されているからこれから伸びる、と言っていたからです」とでも答えたんだろうか?面接官に「あなたは、親に言われて自分の進路を決めるんですか?」って突っ込まれたらどうしよう?
私が高校3年の冬。ゴヤ(「着衣のマハ」「裸のマハ」を含めて)が初めて日本に来た。私と友人は、二人で上野の西洋美術館まで見に行くことにした。当時、茨城の田舎に住む高校生にとっては、かなりの冒険だった。
美術館の庭は、入場を待つ人たちが二重三重にとぐろを巻いていた。入館しても、ゴヤの絵はたくさんの人の頭でよく見えなかった。でも私たちには、ゴヤの絵なんてたいした問題じゃなかった。なぜなら、若いスペイン人の護衛がたくさんいたからである。
スペイン人の若い男性を見たのはその時が初めてだった(そもそもスペイン人を生で見たことすらなかった)。彼らは黒髪で、黒い大きな魅力的な目をしていた。背は高くないが、非常に均整の取れた体つきをしていた。
多分、スペイン語を受験しようとはっきり決心したのはその時だったと思う。
大学の志望動機なんてそんなもんだ。そして、こういう個人的な理由の方が、立派な志望動機よりも案外強力だったりする。
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