学生の金銭感覚

かつでのHPより。2001年5月24日


 先日,食堂でのこと.私の授業を受けている一年生の女子学生二人と入り口で出会った.中の一人が「先生,おごってくれてもいいですよ」と言ったのである. 

大分前になる.私の担当クラスの学生(一年生)がコンパをやるという,出席を求めに研究室に来た学生に,子供が小さいから遅くなるのは無理だ,と返事をした.

そのとき、中の一人が「先生,出席しなくてもいいですよ.カンパだけしてくれれば」と言ったのだ. その時は衝撃だった.驚くと同時に非常に不愉快でハラもたった.どんな対応をしたのか覚えていないが,以後,私は学生とのコンパは基本的に避けることにしている.不愉快な思いをしてまでお金を払って飲みたくもない相手に時間をつぶしたくない. 

つい先日,ある先生から聞いた話である.熱心に授業に取り組んでいる一年生の女子学生3人に,勉強になるからインターネットを検索しながらレポートを書いてみないか,と言ったところ,先生いくらくれるんですか,と聞かれたという. 

これらのエピソードの主人公はすべて1年生なので,もしかすると学年が上がっていくに従って,彼らの常識,礼儀,品性といったものが磨かれて,卒業時にはこうした金銭感覚は変化していくのかもしれない. 

あるいは好意的に解釈すると,友達どうしの会話の中で日常的に使われている”おごる,おごられる”という感覚をそのまま教師と学生間の関係に持ち込んだもの,と解釈することもできる.そうであれば,彼らが教師に対して非常に親しみを感じている,と考えることもできるのだが...  


最近は、この手の話を全く聞かない。

生れた時からずっと不景気の中で生きて来た今の学生たちの方が、お金のありがたみを理解しているということだろうか。

3分の1の学生が奨学金を借り、多くの学生がアルバイトを経験する。何とか正社員の職を得ようと、真剣に就職活動に取り組む。かつての学生とは金銭感覚が違って当然である。


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